「今のところどこも痛くもないし、虫歯もひどくなったことはない。
歯茎から血が出たりぐらぐらしたり、口臭がしたり歯周病の症状も無いから大丈夫。わたしはこれからもきっと大丈夫。」
そんな風に思っていらっしゃる方はとても多いと思います。
わたしも歯科の知識が無かったらきっとそのように感じていたかもしれません。
今回はそんな方にこそお読み頂きたい内容です。
歯科において、治療する主な病気は虫歯と歯周病です。
残念ながら、虫歯も歯周病も症状が出てくるころには治療が必要になることが多いです。穴がある、痛い、ぐらつくなどの症状が無いからといってリスクが無いとは言い切れません。
実際虫歯になったことがある方は、それだけで虫歯のリスクがあると言えます。
病状とリスク この二つ、似て非なるもの。実は別物なんです。
症状もなく、現在進行中の病気が無かったとしても、お口の中や生活習慣、環境などにリスクがあれば、予防策を知らなければ将来病気になる確率は高いかもしれません。
逆に、リスクが高くても上手にコントロールして管理されていれば、病気の進行を防ぐことも可能になります。
では、歯科医師や歯科衛生士は、このリスクがみんな低いのでしょうか。
100%磨くために毎回の歯磨きに30分かけているのでしょうか。特殊な歯ブラシや、一般の方には流通しない予防効果の高い薬剤を使い続けているのでしょうか。お菓子は絶対に食べないようにしているのでしょうか…
ほとんどの歯科衛生士はそういった予防方法はしていないと思います。
ちなみにわたしはどれも行っていません。
自分のリスクを知り、自分に合った予防方法を知っているから健康を守れるのです。
そうでなければ、同じように虫歯や歯周病になります。
わたしたちはご来院いただいた患者さん皆さんにリスク検査を行います。カリオグラムやOHI-Sというソフトを用いて、患者さんに分かりやすくご説明致します。
リスクを知り、現在の自分と向き合うことで将来の病気をコントロールできたら、今の健康を維持できたら、こんなに素晴らしい治療方法はありません。
病気の症状がある方も、現在のリスクを減らす方法が分かれば、将来の歯を残せる可能性をぐっと上げることができるかもしれません。
クリーニングしてもらいに歯科医院に定期的に行くよりも、ずっと効果的に歯を守ることができます。
みなさんも歯科医院で、なってしまった病気を治すことから、未来を支えるご自身の健康を守るための受診に変えていきませんか?
歯は削ってしまったら戻って来ません。
これが予防の本質だなと思うエピソードがあります。
スウェーデンでは、3歳までの子供に対する予防処置って何を行なっていると思いますか??
実は同国では、口腔内は基本的に触らないんです。
同じ質問を日本の方に聞くと、「フッ素を多く使ってる?」とか「凄い頻度でお掃除をしている?」と言う回答が来ます。
実際僕も現場を見るまではそう思っていました。
では何をしているのかと言うと、徹底した親御さんへの健康教育だそうです。
そもそもなぜ歯は大切なのかと言う歯への価値観を伝え、歯を大切にする方法を知ってもらい、日常生活の中に組み込んでいくにはどのようにしていけば良いのかを議論していく。
それが予防歯科の本質だと当院は考えています。
歯科医院という非日常の空間から、日常の生活に落とし込むのは患者さんご本人です。
もちろん医院でのプロフェッショナルケアも大切です。なぜなら歯肉の下にある汚れは患者さんでは落とせないからです。
しかし、クリーニングだけでもダメなんです。
歯周病は厚生労働省が定義をする生活習慣病です。
生活習慣病とは、「食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群」と定義されています。
スウェーデンではその生活習慣を歯を大切なものにするべく、子供の歯を守るために、両親の歯も守るために歯科医院でチェックを受けています。
それが「本当の予防歯科」だと思います。
もちろん生活がお忙しい方、不規則なかたもいらっしゃいます。その方々もストイックに日常生活を遂行しなければいけないのか?というとそうではありません。
全ての方に様々な生活習慣があります。その生活習慣に合わせて、パーソナリティーに合わせて、予防プログラムを提案します。
継続が非常に重要なので、生活の中に無理なく溶け込めるものを探って行きます。それが歯科医院の役割で、歯科衛生士の仕事です。
担当の衛生士を持ち、パーソナルトレーナーのように、揺れ動く生活習慣、ライフステージに合わせて、口腔内の環境をチェックし、生活習慣をチェックしていく、そして健康な歯を健康なまま維持していく、それが歯科医療の本質なのでは無いでしょうか?
長くなりましたが、ここまで読んでくださり大変ありがとうございます。
皆様のご来院を、日本橋すこやか歯科でお待ちしております。
予防を文化に。
日本橋すこやか歯科
院長 大島拓也
歯科衛生士 福山美帆